災害等支援活動

カテゴリ 震災
名称 熊本地震に対する震災支援活動
概要

■熊本こども成育環境状況調査1~5(20160528~1211)
■熊本防災学術連携シンポ (2017)
■公益財団法人ベネッセこども基金報告書(抜粋)(2017)
■益城町飯野仮設住宅団地のための『みんなの緑陰テラス』 (2017)

詳細

佐久間先生よりコメントをいただきました。

 熊本で私が熊本のユニセフさんに同行して初期調査( 被災の1週間後くらいでした。ただ、今回の北陸は熊本の異なり、 まだ緊急救助段階なので、いつ入れるか、入るべきかを、 関連の支援組織の方たちとよく相談した方が良いかと思います。 あと、熊本地震ではある時期から熊本県庁で毎晩、 支援組織を集めての情報交換会を開いており、 それには誰でも参加でき、情報交換できたことも、 支援活動の方向性を探る上で、とても助かりました) に同行した後に行ったのは、 被害がひどかった南阿蘇と益城町の内、 自分でアクセス可能な益城町についての2次調査でした( 阿蘇はかなりアクセスも難しかったので)。 現地では緊急救助段階を過ぎ、 避難所で生活がはじまった段階でした。調査では、現地行政や、 保育園、幼稚園を訪問し、実際に支援として何が必要なのかを、 こちらの押し付けでなく、 丁寧にヒヤリングして考えることをこころがけました。そして、 調査後の最終的な結論として、 就学前施設への直接支援が必要とされていると判断し、 それを園や園庭の環境改善アドバイスという形で行いました。 現地では、被災を逃れたり、 一部破損しても既に園を再開している保育園や幼稚園が多々あり、 震災で家や居場所を失ったこどもたちにとって安心できる貴重な居 場所となっている可能性を感じましたが、 周囲はがれきのような環境での再開も多く、園の活動としては、 それらの風景をあまり見せないようにしていることと、 室内も破損個所や危険個所を避け、 限られた環境や空間での園内活動でしたので、 その場所が最大限のこどもの活性化につなががるためにどうしたら よいかを、空間の多少の改善や工夫、 あるいは園内活動での有効なプログラムの提供をアドバスすること としました。現地も少し落ち着いてきていましたので、 行政とも打合をし、 彼らが把握している支援が必要と思われる園を訪問して、 園長先生の意見を伺い、 それに対して個別にアドバイスを行っていきました。そして、 個別のアドバイスをできたのは、限られた園でしたので、 それらで得た経験を活かして、最終的にすべての園に共通する、 こどもたちの成育環境活性化アドバイス集をつくり、 各園に配布しました。( アドバイス集については福島での学会の支援活動を参考し作成する と同時に、 小澤先生にも別冊のあそび内容のアドバイス集をつくっていただき 、一緒に配布しました。そして、この活動については、 活動途中でベネッセの助成プログラムがあることがわかったので、 そこに申請して幸いなことに助成を一部得ることができました)。

 その後、現地では少しづつ復興が進み、 被災者が避難所から仮設住宅に移っていきましたので、 仮設住宅団地のこどもたちや人々への支援活動に注力していきまし た。具体的なこの時期の支援としては、 ある仮設住宅団地にこどもたちや住民の休息や交流のための居場所 を新たにセルフビルドで制作提供したのですが、この支援活動は、 学会としてではなく、KASEI( 九州建築学生仮設住宅環境改善プロジェクト) という支援組織を九州の建築系の大学で立ち上げ、それにより、 熊本県土木から木材の提供が可能だったので、それに参加し、 大学の教員と学生という立場で行いました。実施に際しては、 益城町や南阿蘇の仮設住宅団地をまわって調査し、 各大学が個別の団地を担当することとし、 私の研究室は被害が酷かった益城町の中から、 こどもたちが多く住んでいる可能性が高いと思われる益城町の飯野 小学校の校庭に建てられた仮設住宅団地を担当することしました。 現地には小さな集会状がありましたが、とても狭く、 こどもたちや皆さんの居場所になりきれてないと判断しましたので 、団地事に組織された自治会長さんを訪問してヒヤリングを行い、 集会場に少しだけつけられていた濡れ縁を大きな奥行に改善するこ とと、 校庭の敷地境界沿いの並木の下にこどもたちや住民の方たちが佇め る木製東屋とテラスを設計し、 学生と一緒にセルフビルドで制作しました。

 他の仮設住宅団地でも、 他にも様々な支援活動が展開されていましたが、 こどもの成育環境向上にとって、一番、有効と思ったのは、 冒険あそび場づくり協会が、東京からプレイバスを運び、 益城町の仮設住宅団地を循環してあそびを支援していたことだった かと思います。

 以上が熊本地震で私が関わった支援活動の概要ですが、 これは東日本大震災時とでは、被災状況や規模、季節、 行政の対応もまったく異なりますし、 北陸での対応もかなり異なるかと思います。 北陸の状況はまだ被災状況の全容がつかめない危機的な状況ですの で、今後の北陸の支援活動については、 関連支援組織との情報交換が不可欠かと思います。是非、 北陸の学会員の方たちで連携して状況共有して進めていっていただ けますと幸いです。


 

リーダー 佐久間 治
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年度 2016